ふるさと歳時記

みんなが暮らしの天才だった

平成10年に発行された語り部絵本「みんなが暮らしの天才だった」の一部を紹介したページです。
昔の暮らしから何か大切なものが見えてきます。

(イラスト)川祭りの風景

沼沢が多いこの地方の地名三潴は、千年以上も前に編さんされた「倭名抄」に記されているとおり、網目のように張りめぐらしている掘割の岸辺には、葮や真菰、柳が生い茂って、水郷の風情をなしていた。
しかし、この風景も昭和60年より施行された土地改良の圃場整備で、堀は埋められて一変した。4月中旬花宗川より新しい豊かな用水が満々とクリークに流れ込む。村人たちは生活と農業用水の確保ができたことを喜ぶと共に水難にあわないようにと、各隣組ではお清酒や塩かつおを入れた飾りの竹を掘りに立てては水神様のおまつりをなす。

(イラスト)道路愛護の奉仕作業の様子

舗装をしていない昔の町道は砂利道だった。村人は1戸より1人ずつ出て草を刈ったり、地ならしをしたり、排水溝をつくったりして汗を流し、道路の維持補修につとめた。お茶の頃には飴がた2本がお決まりだった。

(イラスト)田の草とりの様子

除草剤がないむかしは、田植えをしたあと、まずがんずめを押して草のはえるのをおさえた。草が大きくなったら、はって田の草をとった。焼きつく炎暑に汗だくだく。手足も、のうばずりでいたかったが・・・・・

(イラスト)馬洗い場とこどもの泳ぎ場の様子

むかしの農家には、どこも農耕馬がいたので絵下には4か所の馬洗い場があった。そして、ここは子どもの格好の水泳場で小さいときに泳ぎならいをこの馬洗い場でしたものだ。

(イラスト)みずぐるまと農村風景

大正12年、電力モーターによる潅水機が設置されるまでは、田圃に水を入れるのに水車をせっせと踏んだ。田の草取りも炎天下、田圃にはって手で取った。すべての農作業は、それはきつい労力のいる仕事であった。流れる汗で堀に泳いでは、また、水車を踏んだ。

(イラスト)い草の収穫の様子

い草の刈り取りは朝早くより、夜遅くまで炎天下の作業できつい仕事である。刈り取ったい草を泥に染め、田圃いっぱいに拡げ天日で干しあげた。夕立がくるときは、このい草を寄せ集めるのに、それはそれは戦場のように忙しかった。

(イラスト)夕涼み台に人々が集う様子

扇風機やクーラーのないむかしは、どこの家もばんこがあった。むし暑い夏の夜は、庭先に水をうつ、ばんこを持ち出しては、はやん風の涼をもとめ、昼間のはげしい労働の疲れをいやすために夕涼みをした。ときには、隣近所の人も集まり、夜空にきらめく満天の星を仰ぎながら晩くまで世間話に花が咲いたもんだ。
また、青草を燃やしてはその煙で蚊追いもした。ばんこの上にも一家団欒があった。

(イラスト)水郷の風景

さんさんと太陽が照る秋晴のした田圃ではこんのが弾んだ。こもを張り、足踏みの脱穀機を力強くふむ。おとした籾は風かうちわでたてて選別をなす。
籾を入れた叺を小船に積み込み、クリークを利用して家に運ぶ。当時大きな農家にはどこも舟があった。この舟もその後、潅水機の架樋が掘りにかかり、通れなくなり姿を消したが、むかしは水郷の風情があった。

(イラスト)掘干しの様子

稲の取入れが終り、クリークの水が落ちて堰が出れば各農家は水車で水を汲み上げて掘干しをなす。泥土の上を泳ぎまわる鮒や鯉、なまず、鰻など捕まえて捉える。
日頃海の肴を買うことの少なかったためにこうしてとった堀のさかなを木炭で焼き、かまどの上につるし「やきぅお」として1年中の保存食にし、貴重な蛋白資源であった。むかしは堀の水はとてもきれいでした。

(イラスト)ござを打つ姿

郷土の伝統産業で特産品のござを織るのに方言で「ござうち」というが、電動力織機が開発される昭和の初期までは、い草を1本1本イサシにはさんで差し込む。それは大変に手間と労力のいる手織りの作業であった。
農家のおかっさんたちは朝早くより夜遅くまでカチャントン・カチャントンと尻や肩の痛いのを辛抱して、よく花ござを織りつづけたものだ。わら葺の家のどの家からも「ござうち」の音が響いてきた。また、たて糸ももちろん手よりであった。

(イラスト)消防組の活動風景

自衛消防組員は絵下に40人くらいいて、下は15歳から上は40歳くらいまでだった。制服に半被、地下足袋といった服装であった。ポンプは手押しで車力にのせ火事のときは、ワッショイ・ワッショイと大きい声をだし、走って現場に急行した。戦時中は若者がいなくなり老人や婦女子も頑張ったものだ。

(イラスト)こどもたちの遊びの様子

むかしはテレビ、ラヂオ、まんがの本などなく、家の外で体を動かして、遊ぶことが多かった。
男の子は、こま回し、パチうちおこし、ラムネの玉ころがし、かねんわ回し、ねんぎうち、たけうま、きのぼりむくのみちぎり、さかなやどじょうとりなど。
女の子は、はごいたはねつき、おはぢき、じゅずだまあそび、なわとび、まりつき、ままごと、おにごっこにかくれんぼなど。

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