安心して働くために(その2)
最低賃金
事業主は地域別・産業別の最低賃金以上の賃金を、パートタイマーに支払わなければなりません。
労働契約で最低賃金より低い額が決められていても、その取り決めは無効で、その無効となった部分は、最低賃金と同様の定めをしたものとみなされます(最低賃金法第5条第2項)。
この最低賃金額との差額を事業主に対して請求できます。
最低賃金は、地域(都道府県)ごとに決められており、通常年1回改定されます。
賃金に関するその他のポイント
- 均等処遇
「パートタイム労働指針」第2では、パートタイマーの賃金は、就業の実態や通常の労働者との均衡等を配慮して処遇すべきであるとしています。 - 男女同一賃金の原則
事業主は、労働者が女性であることを理由として賃金について男性と差別的な取り扱いをすることはできません(労働基準法第4条)。パートタイマーにももちろん適用されます。
なお、労働者が女性であることのみを理由として、あるいは社会通念として又は当該事業場において女性労働者が一般的又は平均的に能率が悪いこと、勤続年数が短いこと、主たる生計の維持者でないことなどを理由として差別的取扱いをしてはいけないという意味であり、労働者の職務、能率、技能などによって、個人的差異のあることまで禁止しているものではありません。 - 賃金の支払方法
賃金は、労働者にとって、生活に直接結びつく最も重要なものであるために、労働基準法で賃金支払の5原則が定められています。1現金で、2直接労働者に、3全額を、4毎月1回以上、5一定の期日を定めて、支払わなければなりません(労働基準法第24条)。
なお、労働者の同意を得た場合には、口座振替も認められています。
時間外労働と割増賃金
事業主は、時間外や休日労働、深夜労働をさせた場合、割増賃金を支払わなければなりません。
パートタイム労働指針では、パートタイマーには契約労働時間外の労働をさせないよう配慮を求めていますが、契約時の労働条件通知書や就業規則などに定めがあれば、パートタイマーに契約時間外の労働をさせることは可能です。残業した場合の割増賃金は、週40時間、1日8時間を越えた労働時間について支払わなければなりません。
ただし、パートタイマーの1日の契約労働時間が8時間未満の場合は、8時間に達するまでの残業時間については、特段と取り決めがなければ割増賃金の対象になりません。
労働組合
パートタイマーについても、一般の労働者と同様に労働組合をつくること、労働組合に加入することなどの権利が保障されています。
憲法第28条
また、勤め先以外の、1人でも入れる労働組合に加入することもできます。
労働保険と社会保険
雇用されて働く人には、労働保険(雇用保険、労災保険)が適用され、医療や年金のための社会保険加入が義務付けられています。
パートタイマーについても一定の条件を満たせば適用されます。
適用される保険制度
- 雇用保険
問合せ先:ハローワーク久留米大川出張所
〒831-0041 大川市大字小保614-6 電話番号:0944-86-8609 - 労働者災害補償保険(労災保険)
問合せ先:久留米労働基準監督署
〒830-0037 久留米市諏訪野町2401 電話番号:0942-33-7251 - 健康保険、厚生年金保険
問合せ先:久留米年金事務所(旧社会保険事務所) - 〒830-8501 久留米市諏訪野町2401 電話番号:0942-33-6192
退職
パートタイマーが退職を申出て、事業主が同意すれば、雇用関係は終了します。
退職の申出について事業主の同意を得られない場合は、次の点に注意して下さい。
雇用期間の定めのない労働契約の場合
事業主の同意がなくても労働者が退職の意思表示をして、就業規則などに定め られた期間の経過、また、就業規則などがないときには2週間経過すれば雇用関 係は自動的に終了します(民法第627条第1項)
雇用期間の定めのある労働契約の場合
雇入れ時に明示された労働条件と事実が違う場合や、やむを得ない事情がある 場合を除き、原則として事業主の同意がなければ期間の終了までは退職できませ ん(民法第627条第2項、同第628条)。
また、雇用期間が満了すれば自動的に退職となりますが、退職しないで契約を何回か更新したり、そのまま引き続き働いている場合は、雇用期間の定めのない労働契約の場合と同一と考えられる場合もあり、その場合には期間満了ということだけで退職ということにはならず、この場合も就業規則などないときには、2週間前までに退職を申出なければなりません。
解雇
事業主は、パートタイマーだからという理由で、簡単に解雇することはできません。
パートタイマーが解雇される時には、「会社が倒産した」「勤務態度が非常に悪い」「職務上の不正行為があった」などの客観的に合理的な理由が必要であり、事業主がそのような理由もなく、社会通念上相当と認められない解雇をすれば、解雇権の濫用で無効となります。
解雇をする場合は、次のような決まりがあります。
雇用期間の定めのない場合
雇用期間の定めのないパートタイマーを解雇しようとする場合は、通常の労働者と同様、事業主は少なくとも30日前までに解雇の予告をするか、予告をしない場合は解雇予告手当として30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません(労働基準法第20条)。
雇用期間の定めのある場合
雇用期間内は原則として解雇することはできませんが、期間が満了すれば自動的に退職となります。しかし、退職しないで契約を何回か更新し、事実上そのまま引き続き働いている場合は、突然の契約更新の拒否(雇止め)によってパートタイマーが不利益を被ることのないように、労働省(現在は厚生労働省)から通達(昭和24年9月21日基収第2751号)が出ており、このように雇用期間の雇用期間の定めのない場合と同様に考えられる場合には、事業主は少なくとも30日前に解雇(雇止め)予告をするか、予告をしない場合は解雇予告手当として少なくとも30日分以上の平均賃金を支払わなければならないことがあります。
(福岡県発刊のパートタイマーの基礎知識より抜粋)
この記事に関するお問い合わせ先
産業振興課 産業振興係
〒830-0416
福岡県三潴郡大木町大字八町牟田255-1
電話番号:0944‐32‐1063
ファックス:0944-32-1054
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