○大木町の食の景観を守り創る条例

平成31年3月15日

条例第6号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第5条)

第2章 大木町景観・土地利用計画(第6条―第8条)

第3章 開発建築行為に係る手続(第9条)

第4章 食の景観の保持・形成への支援(第10条・第11条)

第5章 雑則(第12条)

附則

大木町は、遠方に山々を望む広大な空のもとに、肥沃な農地や快適な住宅地が広がっています。この恵まれた町土は自然によって与えられたものではありません。遠い昔は、沼地がひろがる水はけの悪い土地でした。その低湿地を作物の生産に適した土地に改良するために、1,000年以上も長い間、先人たちが懸命の努力を続けました。彼らは堀を掘り、土地をかさ上げし、そこを農地や宅地に変えたのです。そうして、縦横に堀が廻る全国的にも他に類をみない景観が大木町に生まれました。

大木町は、この堀を大切に守り活用することによって、食べ物を作る過程を映し出す「食の景観」を形成し発展してきました。この「食の景観」は、美しいばかりではなく、その土地に暮らす全ての人々の心を育み、命を支えてきた、町民の貴重な財産です。

現在も、堀は農業のみならず、町民の快適な暮らしを支え、生命・財産を災害から守り続けています。また、堀を中心とした「食の景観」が醸し出すゆったりとした住環境は、子どもたちの心を大きく健やかに育てています。

時代の変化にかかわらず、この「食の景観」は、大木町民の暮らしの豊かさの象徴です。そして、「食の景観」を守ることは、すなわち、豊かな暮らしを守ることに他なりません。

大木町のかけがえのない「食の景観」を、次の世代へと引き継いでいくために、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、美しさと秩序のある町土の形成を図り、町民の豊かな暮らしを守るため、本町の区域が全体として有している堀をはじめとした農産物の生産過程が醸し出す景観(以下「食の景観」という。)を維持し、次の世代へ引き継ぐことを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 審議会 大木町景観・土地利用審議会条例(平成28年大木町条例第15号)第2条の規定に基づき設置された大木町景観・土地利用審議会をいう。

(2) 開発行為 都市計画法(昭和43年法律第100号)第4条第12項に規定する行為をいう。

(3) 建築行為 景観法(平成16年法律第110号)第16条第1項第1号及び第2号に規定する行為をいう。

(4) 開発建築行為 別表に定める行為をいう。

(5) 事業主等 開発建築行為を行う者をいう。

(町の責務)

第3条 町は、食の景観の保持・形成及び土地利用に関する施策を実施するものとする。

2 町は、食の景観の保持・形成及び土地利用に関する啓発及び知識の普及に必要な措置を講ずるものとする。

(町民の責務)

第4条 町民は、食の景観の保持・形成及び土地利用に係る関心及び理解を深め、自主的かつ積極的に食の景観の保持・形成及び土地利用の良好な環境形成に努めなければならない。

2 町民は、町が実施する食の景観の保持・形成及び土地利用に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(事業主等の責務)

第5条 事業主等は、町が実施する食の景観の保持・形成及び土地利用に関する施策に積極的に参加し、並びに協力するよう努めなければならない。

2 事業主等は、自らの事業活動が食の景観の保持・形成及び土地利用に影響を与えるものであることを認識し、当該事業活動が良好な食の景観の保持・形成及び土地利用に資するよう努めなければならない。

第2章 大木町景観・土地利用計画

(大木町景観・土地利用計画の策定)

第6条 町長は、町全域についての食の景観の保持・形成及び土地利用に関する総合的な計画として景観・土地利用計画を定めるものとする。

(大木町景観・土地利用計画策定の手続)

第7条 町長は、景観・土地利用計画を定めようとするときは、あらかじめ審議会の意見を聴くものとする。

(大木町景観・土地利用計画の変更)

第8条 町長は、景観・土地利用計画を変更しようとするときは、あらかじめ審議会の意見を聴くものとする。ただし、軽微な変更をしようとするときは、この限りでない。

第3章 開発建築行為に係る手続

(開発建築行為に係る届出等)

第9条 事業主等は、開発建築行為をしようとするときは、あらかじめ、次に掲げる事項を町長に届け出なければならない。

(1) 事業主等の氏名及び住所(法人にあっては、名称及び代表者の氏名並びに主たる事務所の所在地)

(2) 行為の場所

(3) 行為の期間

(4) 工事施工者の氏名及び住所等

(5) 農地法(昭和27年法律第229号)第4条第1項及び第5条第1項に規定する農地転用許可の必要性

(6) 事業の目的

(7) 前各号に掲げるもののほか、町長が必要とする事項

第4章 食の景観の保持・形成への支援

(表彰)

第10条 町長は、食の景観の保持・形成に貢献したと認められる者及び団体を、審議会の意見を聴いて表彰することができる。

(食の景観の保持・形成への支援)

第11条 町長は、食の景観の保持・形成に資する活動を行う者及び食の景観の保持・形成に資する開発建築行為を行う事業主等に対し、審議会が認める活動又は開発建築行為について、技術的支援を行い、又は予算の範囲内において助成金を交付することができる。

第5章 雑則

(委任)

第12条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

この条例は、平成31年10月1日から施行する。

別表(第2条関係)

開発行為

面積が1,000m2以上の場合

(面積が1,000m2未満の場合であっても、4戸以上の建築物を建築する場合又は既開発地に隣接して開発行為をすることにより合計した開発地の面積が1,000m2以上となる場合は届出の対象とする。)

建築行為

(国)有水路に隣接する土地に、確認申請を要する建築物等を建築する場合

開墾、埋立てその他の土地の利用形態を変更する行為

面積が1,000m2以上の場合

土砂を採取し、又は鉱物を採掘する行為

面積が1,000m2以上の場合

物件を堆積する行為

物件を堆積する高さが2m以上の場合又は堆積を行う土地面積の合計が100m2以上の場合(3月以内の一時的な行為は除く。)

大木町の食の景観を守り創る条例

平成31年3月15日 条例第6号

(令和元年10月1日施行)