○大木町男女が認め合い社会参画を推進する条例
平成30年12月10日
条例第18号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第11条)
第2章 基本施策等(第12条―第21条)
第3章 苦情の処理(第22条)
第4章 大木町男女共同参画審議会(第23条)
第5章 雑則(第24条)
附則
すべての人が、性別にかかわりなく、個人として尊重され、自らの意思で生き方を選択し、それぞれの個性や能力を十分に発揮することができる社会の実現は、私たち大木町民の願いであります。
大木町ではこれまで、個人の尊重と法の下の平等を保障する日本国憲法の理念にのっとり、また、国連が提唱する持続可能な開発目標に掲げられている「ジェンダー平等の実現」に向けて、男女共同参画のまちづくりを進めてきました。しかしながら、依然として、家庭、地域、職場、学校など社会のあらゆる分野において、性別による差別的取扱いや固定的性別役割分担意識が根強く残っており、男女平等の達成には更なる努力が求められています。
大木町は、「緑の風が吹き渡るふるさと 暮らし輝く環のまち・おおき」を目指すべき将来像に掲げ、農業を基幹産業とした資源循環型の共生・協働のまちづくりに取り組んでいますが、近年の少子高齢化や高度情報化などの急速な社会変化に対応しつつ、魅力ある町を次世代に継承していくためには、すべての町民が性別にかかわりなく、多様な価値観や生き方を認め合い、それぞれの個性や能力を十分に発揮し、家庭、地域、職場、学校など社会のあらゆる分野において活躍できる社会を実現していくことが必要です。
このような認識の下、その基本理念を明らかにし、町、議会、町民等が一体となり、男女共同参画のまちづくりを推進し、大木町に暮らすすべての人が「このまちに住んで良かった」と実感できる社会を実現するため、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、町、議会、町民、地域組織、事業者等及び教育に携わる者の責務を明らかにするとともに、町の施策の基本的事項を定めることにより、男女共同参画に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって男女共同参画社会を実現することを目的とする。
(1) 男女 生物学的な性区分だけでなく、多様な性を含む性別の呼称をいう。
(2) 男女共同参画 男女が社会の対等な構成員として、自らの意思によって、家庭、地域、職場、学校その他の社会のあらゆる分野(以下「社会のあらゆる分野」という。)における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。
(3) 町民 町内に居住、勤務若しくは在学する者又は町内を活動の拠点とする者をいう。
(4) 地域組織 町内において、行政区その他町内の一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された組織をいう。
(5) 事業者等 町内において、営利若しくは非営利を問わず事業又は活動を行う個人、法人その他の団体をいう。
(6) 教育に携わる者 幼児教育、学校教育、社会教育その他の教育分野(以下「教育分野」という。)において教育に携わる者をいう。
(7) 固定的性別役割分担意識 「男性は仕事、女性は家事、育児、介護」というような社会的な慣習等により固定された性別の役割を決めようとする意識のことをいう。
(8) 積極的改善措置 社会のあらゆる分野における活動に参画する機会において、男女間の格差を改善するため必要な範囲内で男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
(9) ドメスティック・バイオレンス 配偶者(元配偶者を含む。)、恋人その他の親密な関係にある男女間における個人の尊厳を傷つけるような身体的、精神的、性的、経済的又は社会的な暴力をいう。
(10) ハラスメント 性的な言動等による「セクシャル・ハラスメント」のような、男女間において個人の尊厳を傷つけ、不利益を与え、又は生活環境を害する人権を侵害する行為をいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画は、次に掲げる事項を基本理念として推進されなければならない。
(1) 男女が性別による差別的取扱いを受けることなく、個人としての人権が尊重され、個性又は能力を発揮する機会を平等に確保されること。
(2) 固定的性別役割分担意識を反映した社会における制度又は慣行を見直し、社会のあらゆる分野における活動の自由な選択に対して、影響を及ぼすことのないよう配慮されること。
(3) 男女が社会の対等な構成員として、社会のあらゆる分野における方針の立案及び決定に参画する機会を平等に確保されること。
(4) 男女が相互の協力及び社会の支援の下に、家事、子育て、介護その他の家庭生活における活動(以下「家庭生活等」という。)において、家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、職場、地域、学校その他の社会のあらゆる分野における活動に参画できるよう配慮されること。
(5) 男女が相互の性についての理解を深め、生涯にわたり健康な生活を営み、妊娠、出産等に関する意思が尊重されること。
(6) 教育分野において、人権の尊重を基本とした男女共同参画に関する教育が推進されること。
(7) 男女共同参画社会の形成に関する取組は、国際社会における取組と密接な関係を有することから、国際的な協調の下に行われること。
(町の責務)
第4条 町は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下「男女共同参画推進施策」という。)を総合的かつ計画的に実施するものとする。
2 町は、男女共同参画の推進に当たり、議会、町民、地域組織、事業者等及び教育に携わる者並びに国、県その他の地方公共団体との連携に努めるとともに、男女共同参画推進施策を実施するための体制の整備その他必要な措置を講じるものとする。
(議会の責務)
第5条 議会は、基本理念に基づき、町の議決機関として男女共同参画に関する理解を深め、男女共同参画の推進に努めるものとする。
(町民の責務)
第6条 町民は、基本理念に基づき、男女共同参画に関する理解を深め、社会のあらゆる分野において男女共同参画を推進するとともに、町が実施する男女共同参画推進施策に協力するよう努めなければならない。
(地域組織の責務)
第7条 地域組織は、基本理念に基づき、組織の運営や地域活動において男女共同参画を推進するとともに、町が実施する男女共同参画推進施策に協力するよう努めなければならない。
(事業者等の責務)
第8条 事業者等は、基本理念に基づき、その事業活動において男女共同参画を推進するとともに、町が実施する男女共同参画推進施策に協力するよう努めなければならない。
2 事業者等は、雇用又は所属する男女について、就業又は活動上の平等な機会及び待遇を確保するとともに、家庭生活等及び社会活動の両立ができるよう就業又は活動環境の整備に努めなければならない。
(教育に携わる者の責務)
第9条 教育に携わる者は、基本理念に基づき、男女共同参画に関する教育の推進に努めるとともに、町が実施する男女共同参画推進施策に協力するよう努めなければならない。
(男女共同参画社会の推進を阻害する行為の禁止)
第10条 何人も、社会のあらゆる分野において、次の行為を行ってはならない。
(1) 性別を理由とした差別的取扱い
(2) ドメスティック・バイオレンス
(3) ハラスメント
(4) その他男女共同参画の推進を阻害する要因となる人権を侵害する行為
(相談等への対応)
第11条 町は、前条の行為による人権侵害について、町民、地域組織、事業者等(以下「町民等」という。)から相談等があったときは、関係機関と連携を図り、当該相談等に対し適切な措置を講じるものとする。
第2章 基本施策等
(男女共同参画計画)
第12条 町長は、第4条の男女共同参画推進施策を総合的かつ計画的に実施するため、大木町男女共同参画計画(以下「男女共同参画計画」という。)を策定するものとする。
2 町長は、男女共同参画計画の策定又は変更に当たっては、町民等の意見が反映されるよう必要な措置を講じるとともに、第23条の大木町男女共同参画審議会の意見を聴くものとする。
3 町長は、男女共同参画計画を策定又は変更したときは、速やかにこれを公表するものとする。
4 町長は、男女共同参画計画の実施状況について年次報告書を作成し、これを公表するものとする。
(啓発及び広報活動)
第13条 町は、男女共同参画の推進について、町民等の理解を深めるため、啓発及び広報活動を行うものとする。
(情報収集及び調査研究)
第14条 町は、男女共同参画の推進施策を効果的に実施するため、必要な情報収集及び調査研究を行うものとする。
(家庭及び地域組織への支援)
第15条 町は、家庭及び地域組織に対し、男女が固定的性別役割分担意識にとらわれない対等な関係を形成し、社会のあらゆる分野における活動に平等に参画できるよう、情報の提供、助言その他必要な支援を行うものとする。
(事業者等に対する支援)
第16条 町は、事業者等に対し、所属する男女が就業又は活動上の機会、正当な評価による待遇及び能力向上の機会が平等に確保されるとともに、家庭生活等及び社会活動との両立ができるよう、情報の提供、その他必要な支援を行うものとする。
(農業分野における支援)
第17条 町は、基幹産業のひとつである農業分野において男女共同参画を推進するため、農業に従事する者に対し、男女が対等な構成員として経営への参画及び能力開発の機会が平等に確保されるとともに、家庭生活等及び社会活動との両立ができるよう、条件の整備、情報の提供、助言その他必要な支援を行うものとする。
(教育の充実等)
第18条 町は、教育分野において町民等の男女共同参画に関する理解を深めるため、男女共同参画に関する教育の充実のための支援及び環境の整備を行うものとする。
(防災及び復興分野における施策)
第19条 町は、防災、災害対応、復興支援その他の災害に係る分野において男女共同参画の視点を取り入れた体制の整備及び施策の推進を行うものとする。
(政策立案及び方針決定の過程における男女共同参画)
第20条 町は、政策の立案及び決定の過程において男女が平等に参画できる機会を確保するものとする。
2 町長は、審議会等における委員を任命し、又は委嘱する場合においてその委員を構成する男女の数の均衡を図るように努めるものとする。
3 町は、性別にかかわりなく、職員の能力及び意欲に応じた登用を図るため、能力向上の機会の確保及び就業環境の整備を行うものとする。
(施策等の提案)
第21条 町民等は、町が実施する男女共同参画推進施策について、町長に対し、意見、提案等を申し出ることができるものとする。
第3章 苦情の処理
(苦情の処理)
第22条 町長は、町が実施する男女共同参画推進施策について、町民等から苦情の申出があったときは、当該苦情に対し適切な措置を講じるものとする。
第4章 大木町男女共同参画審議会
(大木町男女共同参画審議会の設置)
第23条 男女共同参画推進施策を総合的かつ計画的に推進するため、大木町男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、次に掲げる事務を行う。
(1) 男女共同参画計画の策定又は変更について、町長に意見を述べること。
(2) 男女共同参画計画に基づき町が実施する男女共同参画施策の推進状況について、町長に意見を述べること。
(3) 町長の諮問に応じ、男女共同参画の推進に関する重要事項について調査審議し、意見を述べること。
(4) 前条の規定による苦情の申出について、調査審議し、町長に意見を述べること。
(5) 前4号に掲げるもののほか、男女共同参画の推進に関し必要な事項について、町長に意見を述べること。
3 審議会は、委員12人以内をもって組織する。ただし、男女いずれか一方の委員の数が委員の総数の10分の4未満であってはならない。
4 前3項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
第5章 雑則
(委任)
第24条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
この条例は、平成31年4月1日から施行する。