○大木町政治倫理条例
平成20年6月23日
条例第11号
(目的)
第1条 この条例は、町政が町民の厳粛な信託によるものであることを認識し、その受託者たる町長、副町長及び教育長(以下「町長等」という。)及び町議会の議員(以下「議員」という。)が町民全体の奉仕者として、人格と倫理の向上に努め、いやしくもその権限又は地位による影響力を不正に行使して、自己又は特定の者の利益を図ることのないよう必要な措置を定めることにより、町政に対する町民の信頼に応えるとともに、町民が町政に対する正しい認識と自覚を持ち、もって公正で開かれた民主的な町政の発展に寄与することを目的とする。
(町長等、議員及び町民の責務)
第2条 町長等及び議員は、町民の信頼に値する倫理性を自覚し、町民に対し自らすすんでその高潔性を明らかにしなければならない。
2 町民は、主権者として自らも町政を担い、公共の利益を実現する自覚を持ち、町長等及び議員に対し、その権限又は地位による影響力を不正に行使させるような働きかけを行ってはならない。
(政治倫理基準)
第3条 町長等及び議員は、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。
(1) 町民全体の代表者として品位と名誉を損なうような一切の行為を慎み、その職務に関して不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。
(2) 町民全体の奉仕者として常に人格と倫理の向上に努め、その権限又は地位を利用していかなる金品も授受しないこと。
(3) 町(町が設立した公社並びに町が資本金、基本金その他これらに準ずるものを出資し、又は拠出している公益法人、株式会社及び有限会社を含む。第4条第1項において同じ。)が行う工事等の請負契約、下請工事、業務委託契約及び一般物品納入契約に関して特定業者を推薦、紹介する等有利な計らいをしないこと。
(4) 町職員の公正な職務執行を妨げ、又はその権限を不正に行使するよう働きかけないこと。
(5) 町職員の採用、昇格又は異動に関して推薦又は紹介をしないこと。
(6) 政治活動に関して企業、団体等から寄附を受けないものとし、後援団体についても政治的又は道義的批判を受けるおそれのある寄附等を受けないこと。
2 町長等及び議員は、政治倫理に反する事実があるとの疑惑を持たれたときは、自ら清い態度をもって疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明らかにしなければならない。
(請負契約等の辞退)
第4条 町長等及び議員が役員をし、若しくは実質的に経営に携わっている企業又は町長等及び議員の配偶者並びに1親等親族、若しくは同居の親族が経営する企業は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第92条の2、第142条、第166条及び第180条の5の規定の趣旨を尊重し、町が行う工事等の請負契約、下請契約、業務委託契約及び一般物品納入契約を辞退し、町民に疑惑の念を生じさせないよう努めなければならない。
2 前項に規定する「実質的に経営に携わっている企業」とは、次に掲げるものをいう。
(1) 町長等及び議員が資本金その他これに準ずるものの3分の1以上を出資している企業
(2) 町長等及び議員が年額300万円以上の報酬(顧問料等その名目を問わない。)を収受している企業
(3) 町長等及び議員がその経営方針又は主要な取引に関与している企業
3 前2項の規定に該当する町長等及び議員は、町民に疑惑の念を生じさせないため、責任を持って関係企業の請負等の辞退届を提出しなければならない。
4 前項の辞退届は、町長等及び議員の任期の日から30日以内に、町長等にあっては町長に、議員にあっては議長に提出するものとする。
5 議員に係る辞退届については、議長は、その写しを速やかに町長に送付しなければならない。
6 町長は、辞退届の提出状況を広報紙等で速やかに公表しなければならない。
(指定管理者の指定の禁止)
第5条 前条第1項に規定する企業又は町長等及び議員の配偶者並びに1親等親族、若しくは同居の親族が役員をしている団体は、地方自治法第244条の2第3項に規定する指定管理者となることができない。ただし、町長等にあっては、町が資本金その他これに準ずるものの2分の1以上を出資している法人その他の団体を除く。
(資産等報告書の提出)
第6条 町長及び議員は、その職に就いたときは、その任期の開始の日(再選挙、補欠選挙又は増員選挙により当選人となった者にあってはその選挙の期日とし、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第259条の2の規定の適用があるものにあっては当該者の退職の申立てがあったことにより告示された選挙の期日とし、更正決定又は繰上補充により当選人と定められた者にあってはその当選の効力発生の日とし、副町長及び教育長にあってはその任命の日とする。)から起算して2月を経過する日までに、その年の1月1日現在の資産、地位及び肩書、前年1年間の収入、贈与及び税等の納付状況について、次条第1項に定める資産等報告書を町長等にあっては町長に、議員にあっては議長に提出しなければならない。
3 町長等及び議員は、前2項の資産等報告書と併せ、配偶者の資産等報告書を提出しなければならない。
4 資産等報告書には、規則の定めるところにより、必要な証明書類を添付しなければならない。
(資産等報告書の記載事項)
第7条 資産等報告書には、次の各号に掲げる事項を記入しなければならない。
(1) 資産
ア 土地 所在、地目、面積、取得の時期及び価額並びに相続(被相続人からの遺贈を含む。以下同じ。)により取得した場合は、その旨
イ 建物 所在、種類、構造、床面積、取得の時期及び価額並びに相続により取得した場合は、その旨
ウ 不動産に関する権利(借地権等) 権利の種類、契約期日及び契約価額並びに相続により取得した場合は、その旨
エ 動産 価額が50万円以上の動産の種類、数量、価額及び取得の時期(ただし、生活に通常必要な家具、什器及び衣類を除く。)
オ ゴルフ会員権 クラブ等の名称、口数及び時価額
カ 預貯金 預入金融機関名、預貯金の種類及び金額並びに定期預金の預金日及び満期日
キ 有価証券 公債、社債、株式、出資その他の有価証券の明細、取得期日、取得価額、額面金額及び時価額
ク 信託 信託に関する権利の種類、受託者、信託財産の種類、数量、信託の時期及び価額
ケ 貸付金及び借入金 1件につき50万円以上の貸付金並びに借入金の明細、契約期日及び金額
コ 保証債務 金銭保証、身元保証等の保証債務の内容及び金額(ただし、金銭保証については、同一人に対し総額50万円未満のものを除く。)
サ 貯蓄性保険 貯蓄性の生命保険、損害保険等の種類、保険会社名、契約期日及び保険金額
(2) 地位及び肩書
ア 企業その他の団体における役職名、報酬(顧問料等その名目を問わない。)の有無及び金額(ただし、宗教的、社交的及び政治的団体を除く。)
イ 公職を退いた後の雇用に関する契約その他の取決めについての相手方及び条件
(3) 収入、贈与及びもてなし
ア 給与、報酬、事業収入、配当金、利子、賃貸料、謝礼金、年金その他これらに類する収入の出所及び金額。
イ 1出所当たり3万円以上の贈与及びもてなし(交通、宿泊、飲食、娯楽等)の出所、内容及び金額又は価額
(4) 税等の納付状況
ア 国又は普通地方公共団体から賦課される税の前年度分の納付状況
イ その他普通地方公共団体に関する使用料等の前年度分の納付状況
ウ その他納付義務があるものの前年度分の納付状況
3 前項の規定は、町長等及び議員の配偶者の資産等報告書について準用する。
(資産等報告の閲覧)
第8条 議長は、第6条の規定により提出された議員の資産等報告書の写しを提出期限から10日以内に町長に送付し、町長は、町長等の資産等報告書と併せ、15日以内にこれを町民の閲覧に供するとともに、その要旨を広報紙等に速やかに掲載しなければならない。ただし、証明書類は、閲覧の対象としない。
2 資産等報告書の閲覧期間は、閲覧開始の日から5年間とする。
3 町民は、閲覧より知り得たことをこの条例の目的に沿うよう適正に利用しなければならない。
(政治倫理審査会の設置)
第10条 資産等報告書の審査その他の処理を行うため、地方自治法第138条の4第3項の規定に基づき、大木町政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を置く。
2 審査会の委員は、5人とし、資産等報告書の審査に関して専門的知識を有する者及び地方自治法第18条に規定する選挙権を有する町民から、町長が公正を期して委嘱する。
3 審査会の委員の任期は、2年とし、委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。ただし、委員は任期が満了した場合においても、後任の委員が委嘱されるまでの間その職務を行う。
4 審査会の会議は、公開するものとする。ただし、やむを得ず非公開とするときは、委員定数の3分の2以上の同意を必要とする。
5 審査会の委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。
(審査会の職務)
第11条 審査会は、次に掲げる職務を行う。
(1) 資産等報告書を審査し、意見書を町長に提出すること。
(2) 町民の調査請求について必要な調査を行い、意見書を町長に提出すること。
(3) 説明会の開催について意見書を町長に提出すること。
(4) その他この条例による政治倫理の確立を図るため、町長の諮問を受けた事項につき調査、答申、勧告をし、又は建議をすること。
2 審査会は、前項の職務を行うため、関係人から事情聴取及び資料提供など必要な調査を行うことができる。
(資産等報告書の審査等)
第12条 審査会は、第9条の規定により資産等報告書の審査を求められた日から、90日以内に審議結果について、意見書を作成し、町長に提出しなければならない。
2 町長は、意見書を速やかに町民の閲覧に供するとともに、その要旨を広報紙等に掲載しなければならない。
3 意見書の閲覧期間は、閲覧開始の日から5年間とする。
4 町民は、閲覧より知り得たことをこの条例の目的に沿うよう適正に利用しなければならない。
(虚偽報告等の広報)
第13条 町長は、審査会の意見書に資産等報告書の提出の拒否若しくは遅延、虚偽の報告又は調査非協力等の指摘があったときは、その旨を広報紙等で速やかに公表しなければならない。
(町民の調査請求権)
第14条 町民は、次の各号に掲げる事由があるときは、これを証する資料を添えて、町長等に係るものについては町長に、議員に係るものについては議長に調査を請求することができる。
(1) 資産等報告書に疑義があるとき。
(2) 政治倫理基準に違反する疑いがあるとき。
(3) 請負契約の辞退及び指定管理者の指定禁止に違反する疑いがあるとき。
2 前項の規定により調査の請求がなされたときは、議長は、議員に係る調査請求書及び添付資料の写しを町長に送付し、町長は、町長等及び議員に係る調査請求書及び添付資料の写しを審査会に直ちに提出し、調査を求めなければならない。
3 審査会は、前項の規定により調査を求められたときは、請求を受けた日から90日以内に調査結果回答書(以下「回答書」という。)を作成し、町長に提出しなければならない。
(逮捕後の説明会)
第15条 町長等及び議員が刑法(明治40年法律第45号)第197条から第197条の4までの各条及び第198条に定める罪並びに公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律(平成12年法律第130号)に定める罪その他職務に関連する犯罪(以下「職務関連犯罪」という。)の容疑による逮捕後、引き続きその職にとどまろうとするときは、町長等にあっては町長に、議員にあっては議長に、町民に対する説明会の開催を求めることができる。この場合、当該町長等又は議員は、説明会に出席し釈明するものとする。
(起訴後の説明会)
第16条 町長等及び議員が職務関連犯罪の容疑による起訴後、引続きその職にとどまろうとするときは、町長等にあっては町長に、議員にあっては議長に、町民に対する説明会を求めなければならない。この場合、当該町長等又は議員は、説明会に出席し釈明しなければならない。
3 前項の開催請求は、逮捕後の説明会にあっては起訴又は不起訴の処分がされるまでの間に、起訴後の説明会にあっては起訴された日から50日以内に、町長等に係るものにあっては町長に、議員に係るものにあっては議長に対して行うものとする。
4 議長は、前項の議員に係る説明会の開催請求があったときは、開催請求書を速やかに町長に送付しなければならない。
5 町長は、説明会の開催の適否についてあらかじめ審査会の意見を聴かなければならない。
(刑の確定後の措置)
第18条 町長等又は議員が第15条に定める罪により有罪判決の宣告を受け、刑が確定したときは、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第11条第1項の規定により失職する場合を除き、当該町長等又は議員は、町民全体の代表者としての品位と名誉を守り、町政に対する町民の信頼を回復するため、辞職手続をとるものとする。
(委任)
第19条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成20年7月1日から施行する。
(提出の特例等)
2 第4条第4項に規定する辞退届については、平成20年に限り、施行日から起算して、30日以内に提出しなければならない。
5 第8条第1項における資産等報告の閲覧に供する日については、平成20年に限り10月15日とする。
6 第9条における資産等報告書の審査については、平成20年に限り10月15日とする。
(政治倫理の確立のための大木町長の資産等の公開に関する条例の廃止)
7 政治倫理の確立のための大木町長の資産等の公開に関する条例(平成7年大木町条例第14号)は、廃止する。
附則(平成22年条例第17号)
この条例は、平成23年4月1日から施行する。
附則(平成28年条例第8号)抄
(施行期日)
第1条 この条例は、公布の日から施行する。
(経過措置)
第3条 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律(平成26年法律第76号)附則第2条第1項(次項において「改正法附則第2条第1項」という。)の場合においては、この条例による改正後の大木町政治倫理条例及び大木町職員倫理条例の規定にかかわらず、なお従前の例による。